「獣医師の働き方に新たな可能性を」~往診獣医師協会の挑戦~
ペット業界の未来を拓く、QAL経営
人々とペットのより豊かな暮らしをつくるために多方面から奮励する方々をゲストにお迎えし、その活動や事業への想いを紐解いていくインタビューシリーズ。初回は「一般社団法人往診獣医師協会」の代表理事である丸田香緒里先生、副理事である櫻井崇史先生のお二人にお話を伺いました。
【テーマ】
●「獣医師の働き方に新たな可能性を」~往診獣医師協会の挑戦~
●協会立上の経緯と提供する事業
●往診獣医師になった経緯
●動物病院の獣医師と往診獣医師の違い
●今後の動物医療と往診の意義
■「獣医師の働き方に新たな可能性を」~往診獣医師協会の挑戦~
生田目:今回は、獣医療での在宅診療、つまり往診を行う獣医師の協会「往診獣医師協会」の代表理事である丸田香緒里(まるたかおり)先生、副理事である櫻井崇史(さくらいたかし)先生のお二人にお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
丸田・櫻井:よろしくお願いいたします。
生田目:それでは、往診獣医師協会について私から簡単にご紹介させていただきます。往診獣医師協会は、獣医師による訪問診療を普及・発展させることを目的として2022年4月に設立されました。同時に往診獣医師の資質の向上や教育、研究の促進にも努められています。丸田先生と櫻井先生に加えて、理事として鈴木愛弥先生と武波直樹先生、黒川雄介先生が在籍されています。主に往診獣医師同士の業務内容や実務に関する相談を行ったり、往診獣医師を希望されている先生方への開業支援も行っていると伺っています。
丸 田:はい、間違いありません。
生田目:今回は協会としてのお話に加え、丸田先生・櫻井先生がどのようなご経験をされ、往診獣医師となり、協会を立ち上げられたのかについて伺いたいと思います。
■協会立ち上げの経緯と提供する事業
生田目:では早速ですが、協会の立ち上げの経緯からお伺いできればと思います。往診獣医師協会を実際に立ち上げられたのは、副理事の櫻井先生と伺いましたが、詳しく教えていただけますでしょうか?
櫻 井:私は2015年に往診専門の動物病院を開業しました。当時は往診を行っている先生自体が非常に少なく、私も一人で行っていたために、訪問できる時間やエリアは限られていました。最初は15~20㎞ほど移動しながら往診業務を行っていましたが、次第に安定していくと5km圏内に収まっていきました。しかし、そうなると今度は少し遠い患者様を見てあげることができなくなってしまったと感じ、近隣で往診専門、もしくは一般開業でも積極的に往診を行われている先生に可能な限りこちらからコンタクトを取って、できるだけ多くの患者様に利用していただけるようなコミュニティを作りました。少しずつそのコミュニティが大きくなり、2020年には20数名くらいにまで大きくなりました。そこで、「せっかくやるならば法人として、きちんと活動をしよう」ということになり、以前から親交があった丸田先生にお声がけして往診獣医師協会を設立しました。